10年間旅人に朝食を作りづつけてる話
10年間旅人に朝食を作りづつけてる話
2014年以来、世界中から家の民泊にやってくる旅人に朝食を作り続けている。
最初は朝食を提供していなかった。
だけど夜遅く到着したゲストが朝起きて、右も左もわからない日本という外国でスマートフォン片手に苦労しながらコンビニを探しだし、ビニール袋に入った冷たいサンドイッチやおにぎりをもそもそ食べてる姿をみて、
あったかいコーヒー飲む?
焼きたてのトースト食べる?
卵茹でたてだよ、フルーツをのせたヨーグルトもあるよ。
と、声をかけたんだとおもう、たぶん。
10年も前なのでどんなはじまりかは忘れてしまった。
異国の地であたたかい朝ごはんを食べれたらさぞ嬉しいだろうと、私は思う。
それから右往曲折を経て、今では要望のあった人にだけつくっている。
東京にはおいしい朝ごはんを出す沢山のお店があり、また地元のスーパーで食材を買って、自分で調理したいという人もいるからだ。
だけど、大半のゲストは滞在中に一度は私の作った朝ごはんを食べる。
そこで短い時間だけど、いろんな話をする。朝という時間の優しい空気の中で、コーヒーを飲みながら、ゆで卵に塩を振りながら、You Tubeばかりみてる子供にごはんを食べさせながらゲストと軽い会話をするのが好きだ。これが10年続けてる理由かな、と思う。10年どころかこの先もずっと、おばあちゃんになってもやってるんじゃないだろうか。
今朝のゲストはカリフォルニアから来た日系のアメリカ人の親子だ。見た目は日本人だけど全く英語が話せない。
カナコはどうやって英語を勉強したの?と聞かれて、
「Netflixよ!」
というと
「なるほど、そういう手があったのね。」
と感心していた。今日は銀座に行くらしい。
モーニングの原点
大学生の時、京都駅のレストランでモーニングのバイトをしていた。モーニングのバイトが終わると新快速で新大阪まで行き、そこからまた電車を乗り継いで神戸の大学に通っていた。片道2時間かかる通学路と大学生活の中で、アルバイトができるのは朝の時間だけだったからだ。
そのレストランで出していたモーニングは、ゆで卵とトーストとサラダ、それにコーヒーか紅茶がついて350円。たったそれだけの品揃えなのに、ものすごく完璧で魅力なメニューに思えた。
お客さんの大半は夜勤を終えたタクシーの運転手さんか水商売を終えたきらびやかだけど疲れた女性たちで、意外にもサラリーマンが少なかった。
ゆっくりと店内に流れるクラッシック音楽も手伝って、そこだけ異空間のような朝の不思議な時間が流れている。
そのレストランでは、お客さんに出すモーニングがそのまま「まかない」として出してもらえた。朝、バイトをして「まかない」で一息ついて大学に行く。そんなルーティンが大好きだったのに、2時間の通学はキツすぎて大学1年の夏休み終わりには大学近くの寮に引っ越し、そのバイトはやめてしまった。
それから私の朝早く起きてバイトに行くという規則正しい生活は乱れに乱れ、怠惰な大学生活が始まった。
ホテルの朝食ビュッフェのこと
朝ごはんがどうしてこんなにも美味しいのかと考えてみた。
朝、昼、夜、で10時間以上食事と食事の間の時間があるのは朝ごはんだけである。飢餓状態になっている体に、あまり調理のされていないシンプルな食事とフレッシュな果物やコーヒーの香りが刺激的にからだに沁み渡るのかな、と思う。
シンプルな朝ごはんも好きだけど、ホテルの朝食ビュッフェも好きだ。
マレーシアでの朝食ブッフェは、世界中の料理が並べてあり、わくわくしてしまう。
中国のとろとろのお粥とそれにいれる豊富な数の薬味。たくさんの竹籠の蓋をあけると蒸したての点心たちが顔を出す。小さなナンのような焼きたての生地とカレー。南国のフレッシュジュースの品揃えはさすがといったところ。
コーヒーも一流のバリスタが淹れてくれるので、最初はシンプルなブラックコーヒー、二回目はカプチーノ、食事を終えて紙コップに淹れてくれる持ち帰り用のコーヒーはアイスコーヒーと欲張りなので何度もオーダーする。
朝ごはんについての私のヒストリーと探求について考えなおすことができたので、家庭で日常に出す朝ごはんももっと追求していきたいと思う。
ところで最近はまっているのが、ドンキで売ってるハチミツ漬けのナッツ。
ヨーグルトにかけても、トーストに塗ってもおいしいよ。ゲストにも好評だし、朝起きるのがますます楽しみになった。
明日の朝ごはんはなにつくろう?
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