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高橋和巳先生の『大人の愛着障害』イラスト

高橋和巳先生の『大人の愛着障害』帯カバーイラスト

 

ちくま書房から発刊されている高橋和巳先生の『大人の愛着障害』の帯イラストを担当させていただきました。

高橋先生のご著書では、これまでにも何冊かイラストを描かせていただいています。十年以上前に出版された『親は子を救うために心の病になる』や『消えたい』はよく知られていて、「あのときと同じテイストでお願いします」と他社さんからご依頼いただくこともあります。

 

しかしこれは本当にデザインの力がすごくて、私なんてイラストレーターになりたててで何もわからずに提出したものをかっこよくデザイナーの石間さんがしてくださったんです。タイトルも力強くてすごく斬新だったんじゃないかなと思います。

 

これまでのご本では、たとえば笑っている子供や楽しそうに遊ぶ親子など、中身を直接表すイラストではなくても、タイトルの強さによって本の世界観を作ることができていました。

ところが今回は「悩んでいる男性を描いてください」という、これまでにないダイレクトなリクエスト。むしろどう表現すべきか悩みました。モノクロや2色で描いた方がよいのでは…とさまざまなパターンを提出しましたが、最終的にはカラフルな絵に仕上がりました。

 

また、本文中の目次扉もとても苦労しました。内容を熟読するあまり心が痛くなるようなラフを何枚も描きましたが、先生のお話には必ず光と救いがあり、悩んでいる人に寄り添う優しさがあります。私もそのような想いを絵で少しでも悩んでいる読者さんを癒すことができればと思い仕上げさせていただきました。

 

採用されなかったカバーイラスト案も載せてみます。

 

 

 

カラーで描いてよかったのですが、あえて青一色だとか全身のショットなどもいろいろ描いてみました。

 

 

帯のコピーにある「自己表現や対人関係でうまくいかないのはなぜか?」という言葉は、そのまま私自身への問いかけのようにも感じます。

 

第三章の目次には、本文にもでてくる猫ちゃんを少女のイラストに添えました。

 

猫は私も絵のモチーフとして描くのですが、「そっと寄り添ってくれる」というのがなんともいいですよね。

 

辛い時悲しい時、直接的に関わってほしくなくても、何も言わずに触り心地のよい毛でふわっと触れてくれる猫のような存在が落ち着くときもあるかなと思いました。

 

 

私も昔から対人関係がうまくできなかったからこそ、今も絵を描いているのかもしれません。言葉では伝えきれない思いを絵に込め、そしてその表現で人とつながれるInstagramや展示、イラストのお仕事を心から大切にしています。

 

 

生きづらさを抱えている人は近年とても多く社会現象にまでなっています。辛いな、と思ったらこのをぜひ書店で手に取ってみてください。高橋先生の前作も全てお勧めです。

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