Illustrationの仕事、小説挿絵について
小説挿絵について
フリーランスのイラストレーターになって10年くらい経ちますが、好きな仕事の一つに小説の挿絵があります。なぜ好きなのかというと、
・自由度が高い
・誰よりもはやく小説が読める
・白と黒の中で絵をつくるのが楽しい
からです。
去年は角川春樹事務所からでている文芸誌ランティエで、中山七里さんの社会派現代小説「夜がどれほど暗くても」の挿絵を担当しました。
この小説では現代社会の問題点がいろいろと織り込まれており、特に週刊誌による報道の過熱や学校でのいじめ、ネット上での批判などいろいろと考えさせられる部分がとても多く、毎回続編を読むのがとても楽しみでした。
以下、連載回の一部の挿絵です。
また、Illustrationはこのように本に掲載されます。
小説挿絵の中で気をつけていること
・ネタバレにならない
・単調にならないよう毎回シーンを変える
・白と黒のグラデーションの幅を小さくする(コントラスト高め)
読者がはじめにページをみて目にはいる情報は挿絵だと思うので、ここで全体の話のあらすじがばれないようなシーンにします。ばれてしまうと読者の気持ちに反することになってしまうからです。
あと、前回で室内のシーンを描いたのだったら、今回は物語の鍵になる物や人物のアップとか、室外とか、前回と比べて変化のある絵の場面を選びます。場面が続いてしまうと絵の構成としてつまらなくなってしまいます。
文芸誌の紙というのはざらざらしていて本の表紙とか雑誌に比べると発色がよくないので、複雑なグラデーションを再現できない場合があります。なのでなるべく白と黒の境目がはっきりする色調を選びます。これは私の個人的な好みで、中にはグラデーションを好む作家さんもいます。
最後に
小説の挿絵は本の表紙や広告のIllustrationに比べるとギャラも低く、露出も少ない地味な仕事です。しかし連載小説の挿絵となると長期にわたってその作品に向き合い、毎月編集者さんとコンタクトをとれる機会になります。毎回大切に描いた挿絵を見ていただいて、単行本や文庫化の際にまたお仕事を頂いたときは本当に嬉しいです。これからも小説挿絵のお仕事が頂けますように!
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Kanako Okamoto
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